なぜ太っている人は汗をかきやすいの?
冷房のきいた部屋にいると夏でもあまり汗をかきません。
汗は新陳代謝など健康維持には欠かせない存在なので日頃からしっかりかくように心がけたいもの。
しかし汗を多くかけば健康というわけではありません。
じつは汗には「良い汗」と「悪い汗」があり身体のにおいとも深く関係しているのです。
暑くなると汗をかくのは熱を発散させて体温を保つため
暑くなると汗をかくのは、体内にこもった熱を水分と一緒に発散させるため。身体は汗によって体温上昇を防ぎ、つねに一定に保っています。
では、なぜ太っていると汗をかきやすいのでしょうか。それは皮下脂肪が身体の「断熱材」となって熱がこもり、体内温度が上がりやすいから。また太っている人は「身体の表面積」が大きく、その分、汗を分泌する汗腺の密度が低くなり、ひとつの汗腺から大粒の汗が出やすくなります。汗の粒が大きいと蒸発しづらく、ダラダラと流れるので、身体に必要なミネラルまで失われやすくなります。これは汗の専門家にいわせれば「悪い汗」。太っていて汗かきの人は、悪い汗をかきやすいといえるでしょう。
太っている人は汗をかきやすい
理由1 体内に熱がこもりやすい
体内温度を下げるために、たくさん汗をかく。
皮下脂肪が断熱材となり熱がこもる
理由2 汗腺の密度が低い
ひとつの汗腺から大粒の汗が出る。
良い汗と悪い汗 違いは再吸収力
良い汗と悪い汗の違いは、血管がどれだけミネラル成分を再吸収できるかで決まります。少し専門的な話になりますが、汗は血液の血球を除いた血漿(けっしょう)で、その中に含まれるミネラル成分を、再び血管に戻して残りの水分を汗として出すという働きをしています。この再吸収の力が強い汗腺は、水に近いサラッとした「良い汗」をかけます。一方、再吸収の機能が低下すると血漿の成分がそのまま出てしまう「悪い汗」となります。良い汗は、濃度が薄くサラッとしていますが、悪い汗は塩分が多く、濃度の濃いベトベトしたものとなり、夏バテや慢性疲労の原因にもなります。また悪い汗にはアルカリ分が含まれ、弱酸性の皮膚表面をアルカリ化してしまうことにより、雑菌が繁殖しやすく、汗のにおいが強くなるといわれます。
ふだん何気なくかいている汗ですが、健康のために自分の汗を確認してみては?
良い汗と悪い汗の比較
悪い汗 良い汗
濃度が濃くベトベトしている 濃度が薄くサラッとしている
粒が大きくダラダラ流れる 粒が細かく蒸発しやすい
においやすい においがない
汗をかくと疲労感がある 汗をかくと爽快になる
汗腺のしくみ
血漿のミネラル成分を再び血管内へ戻すことで、残りの水分を汗として体外へ排出する。
良い汗をかくための「汗腺トレーニング」
衰えた汗腺機能を活発にする方法
良い汗をかくためには、汗腺機能を鍛え、再吸収の力を高めることが大切です。スポーツや岩盤浴などで汗腺機能を活発にするのもいいですが、もっと簡単で効率のよい方法として、お風呂で行う「汗腺トレーニング」があります。2週間ほど続ければ、徐々に汗腺機能が高まり、気持ちいい汗をかけるようになります。また、汗によるにおいの改善にもつながります。ふだん汗をあまりかかない人も、衰えた汗腺機能を活発にするために、ぜひ「汗腺トレーニング」を始めましょう。
STEP1 高温で手足浴
熱いお湯(43〜44度)を湯船に少なめに入れ、ひざ下とひじ先を10〜15分つけます。手足は汗腺が多いので、集中的に温めるのが効果的です。
STEP2 ぬるま湯で全身浴
湯船にぬるま湯をたして36度くらいにし、再び10〜15分ほどつかります。
STEP3 お風呂上がりに
扇風機やエアコンで強制的に身体を冷やしたりせず、自然に汗が蒸発するまで待ちます。汗をかいた分、水分補給をしましょう。冷たすぎる飲みものは避け、リンゴ酢や黒酢などのドリンクを飲めば効果的です。
読者アンケートより
汗とにおいQ&A
Q スポーツでかく汗と、緊張してかく汗は違うの? (20代女性)
A スポーツは体内でエネルギーを燃やし身体が温まることによって徐々に汗をかくので「良い汗」。遠赤外線効果で身体をじんわり温める岩盤浴なども、「良い汗」をかく 方法としてお勧めですよ。一方、緊張などによって一気にかく汗は、ミネラル成分などが排出されやすく、汗の質という観点においては「悪い汗」といえますね。
Q ワイシャツの汗じみやにおいが気になります。 (30代男性)
A パンのふくらし粉として使われる「重曹(じゅうそう)」には、消臭や消色の作用もあるんです。汗をかきやすいワキなどに重曹の粉を直接塗ったり、衣類の内側に軽く 塗るだけで、においや汚れを押さえることができますよ。
Q よく寝汗をかくのですが。 (50代男性)
A お風呂上がりにエアコンで無理に身体を冷やし、すぐ寝床に入ると、体内に熱がこもったままとなり寝汗をかきやすいので、自然に汗を蒸発させるのが大事ですよ。それ でも一晩中、だらだら汗をかくようなら、疾患の疑いもあるので医師に相談してください。
あなたは大丈夫? 気になる汗のにおい
防臭や消臭グッズが人気を集めているように、現代人はにおいに敏感です。
「悪い汗」のほかにも、汗と関係する気になるにおいをピックアップ。
ワキガ わきから発する強いにおい
汗腺のひとつ「アポクリン腺※」が活発に働くことが原因です。においの強さは、アポクリン腺の数や大きさに比例し、非常に個人差が大きいのが特徴。日本人はワキガの人が少なく、10〜15%といわれています。
※汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」があり、通常の汗は「エクリン線」から出る。
対策 においの改善には、醸造酢や黒酢を加えた「酢風呂」が有効です。それでもにおいが気になる場合、治療法として、毛根に電流を通してアポクリン腺を熱凝固させる方 法、アポクリン腺を取り除く方法などがあります。
足の裏のにおい 時間がたつとすっぱいにおいに
足の裏には汗腺が集中しています。このため靴や靴下で長時間密閉されると、汗がこもり、皮膚の雑菌によって汗が分解され脂肪酸に変わるとすっぱいにおいを発します。さらに皮脂と混ざりあえばにおいが強まります。
対策 40度以上のお湯を入れた風呂桶にコップ1杯の酢を注ぎ、10〜15分足をつけます。血流を良くして雑菌の繁殖を防ぐことで、においを抑えます。
更年期の多汗 ぐっしょりかいてベタつく
女性ホルモンの減少によって、体温調節機能や汗腺機能が衰えることが原因とされています。手足は冷たいのに、顔や首、胸などにぐっしょりと汗をかくことも。汗はベタベタして蒸発しにくく、においを発しやすくなります。
対策 汗腺トレーニングで汗腺機能を鍛えます。体内に乳酸が増えると、汗の中に尿素とアンモニアが増え、においが強くなるため、乳酸の生成を抑えるすっぱい食べものを 多く摂りましょう。
加齢臭と汗の意外な関係
加齢臭のもとは皮脂腺から出る脂肪酸ですが、じつは汗腺からも加齢臭が出ることがあります。原因は腸の老化によって悪玉菌が優勢となり、アンモニアなど「におい成分」が多くつくられ、汗となって排出されるため。悪玉菌を抑えて善玉菌を優勢にするには、乳酸菌やオリゴ糖をしっかり摂り、腸内環境を整えるように心がけましょう。
健保と家庭を結ぶ健康PR誌
けんこう 2009年夏号