手のひらや足の裏の多汗の原因は、人より汗腺が多いとか、汗腺が敏感だとかの問題ではなく、心の問題です。ですから、生まれながらの手掌多汗という人はいません。親子が同じ手のひらの汗で悩んでいるとしたら、性格が遺伝したのです。多くの場合、過去に多汗になるきっかけとなった出来事があります。例えば、ピアノの発表会で緊張しすぎて失敗したとか、好きな人と握手したとか、答案用紙が緊張して濡れてしまった……などの汗にまつわる経験です。それらを景気に、「また汗をかくのではないか」という予期不安を潜在意識に持ってしまうと、本人が意識しなくても、脳の中は本当の緊張状態となってしまい、精神性発汗が慢性化してしまうのです。

現実に汗をかく前からこのような不安を持つと、対人関係にも影響し、対人恐怖のような状態になることもあります。夜眠れないときに眠ろうと努力するとますます眠れなくなるのと同じように、予期不安を抑えようとすればますます強くなります。「汗くらいかいてもよい」と開き直り、汗以外の何か別のことに意識を集中することが大切です。



五味常明・読売新聞大手小町編集部 著
『汗っかきを治す72のワザ+α』(保健同人社)より


汗っかきを治す72のワザ+α