足の裏は、体の中でも手のひらと同様に汗腺が密集した場所です。靴下やストッキング、さらにはブーツや革靴などで密閉されると、素足でいるときよりも必然的に温度が上がり、汗も蒸発しないまま湿気を帯びてきます。このような、温度の上昇で出る汗を抑えるのは困難です。靴をこまめに履き替えたり、干したりするなどの靴対策や、足をよく洗ったり、ベビーパウダーを使ったりするなど足へのケアが有効でしょう。

しかし、それだけでなく、手のひらの多汗と同様に、足の裏に「精神性発汗」をする人が増えています。暑さや汗腺が多いという問題ではなく、心の問題から汗が多くなってしまうのです。

偶然のきっかけで足のにおいが気になり、そしてまた汗をかいてしまい、足をことさら意識してしまうと、「汗をかくまい」、「汗をかきたくない」という不安がいつも頭をもたげてくるようになります。そうすると、意識すればするほど汗をかくという悪循環に陥ってしまいやすくなるのです。

このような「精神性発汗」を抑えるコツは、結論からいえば「もっと汗をかいてやろう」と考えを変えることなのです。

精神性発汗はいわば「生理現象」です。生理現象を抑えることはできません。汗を減らすことではなく、不安を解消することが治療の目的になります。ですから、心の中を不安とは反対の状態、つまり安心の気持ちに持っていくようにすることです。それが、汗を受け入れることなのです。

汗で悩んでいる人に気にするなといっても無理でしょう。大切なのは気になっても、汗を否定しないこと。いっぱい汗をかいていても、その汗の存在を認めてやれば、不安は生じてこないはずです。汗とうまく付き合っていくスタンスが、多汗治療のポイントといえるでしょう。



五味常明・読売新聞大手小町編集部 著
『汗っかきを治す72のワザ+α』(保健同人社)より


汗っかきを治す72のワザ+α