人類は体温調節のため、暑くなると汗をかく。日本は四季があるので、人は昔から、夏は「汗腺」を働かせ、たっぷり汗をかいた。

 冬は汗腺を休ませ、気候の変化に順応してきた。ところが約20年前からの冷房の急速な普及で、夏でも汗をかく機会が大幅に減った。

 「うまく汗をかけない日本人が増え、自分で体温調節できない爬虫はちゅう類化した人が増えている」と警鐘を鳴らす東京・新宿の五味クリニック院長、五味常明さんに夏の汗対策を聞いた。

 一般に、人の最適な体温は約37度とされる。これは脳の働きを安定させるための温度だ。暑さを皮膚と脳で感じ、約37度を超えないよう、ほぼ一定に保っている。

 汗が出る汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺がある。エクリン腺は全身に分布しており、平均して約350万個ある。非常に小さい。ここからの汗は99%以上が水分で、臭いもあまりない。体温調節のためにエクリン腺があるのは人類だけだ。

 アポクリン腺は大半がわきの下にあり、毛穴と出口を共有する。ここの汗はたんぱく質、脂質、アンモニアなどを含む。動物のフェロモンのように、異性をひきつけたりする役割をしていたとみられるが、退化した。栄養があるので皮膚の常在菌が繁殖しやすく、わきが臭ともなる。

 これからの夏は、暑い戸外と冷房のきいた室内の往復を強いられる。「繰り返していると、体温を調節する中枢は、脳よりも皮膚で感じる温度の変化に敏感に反応するようになる。これが爬虫類のような変温動物になる始まりです。汗がかけないと、体温が上がり、様々な病気の原因になる」と五味さんは警告する。

(2014年6月15日 読売新聞)
 http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=100171


多汗症についての相談(回答内容別)
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