「いくら暑いといっても、最近汗がすごいわね」と妻から言われたDさん(43歳)。汗のかき過ぎは何か病気と関係があるのだろうか。

暑さが増すこの季節、汗や臭いが気になる。実は、汗のかき方や臭いは、病気のサインになることもある。いつもと違った汗のかき方であれば、たかが汗と思わず注意してほしい。


例えば寝汗。寝入りばなや夢をいている時にかく汗は、生理的なもので、量が多くても心配ない。しかし、寝ている間中、汗腺から漏れ出すようにぐっしょりと汗をかくなら、結核や白血病といった病気の可能性もある。その場合の汗は、ミネラルなどの血漿成分が多く、ベタベタしてアンモニア臭がするのが特徴だ。


起床時も含め、全身に異常に多くの汗をかく場合には、ホルモンの分泌異常が考えられる。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、過剰に分泌される甲状腺ホルモンの作用で代謝が高まり、多量の汗をかく。多汗と同時に動機や体重の減少、イライラなどがあれば、甲状腺機能亢進症が疑われる。

副腎の腫瘍である褐色細胞腫では、交感神経を刺激するアドレナリンが多く分泌されて、汗腺が刺激さあれるために多汗になる。このほか、肺の疾患や心不全などでも全身の汗が増える。

部分的に汗が増える病気もある。代表的なのが女性の更年期のホットフラッシュで、顔などの上半身に急激に汗をかく。糖尿病でも、上半身の発刊が増えることがある。これは、糖尿病で末梢神経が障害を受けて四肢の汗が減り、それを補うための代償性の汗が出ることによるおのだ。


汗をかきにくい病気も

女性よりも男性の方があせをかきやすい。それは、男性ホルモンが発汗を促すからである。そのため、男性ホルモンの分泌が低下して起こる男性の更年期障害では、汗をかきにくくなる。また、鬱病の場合にも発汗が抑えられることがある。50歳前後の男性で汗をかかなくなったという場合には、更年期障害やそれに伴う鬱病が考えられるので、専門医を受診するといい。

病気ではない多汗もある。会議の発表の前などに手や脇の下に多量にかく汗は、精神性発汗だ。緊張による汗のため、気にすれば気にするほど発汗するので、開き直るのが一番の解決策である。どうしても気になるなら、ボトックスという治療が有効だ。ボツリヌス菌由来の神経毒を製剤化したものを注射し、発汗を促す神経を抑制、麻痺させる。効果は3〜6カ月持続する。

一方、この時期、特に外回りの多いビジネスパーソンは、冷房の利いた室内と暑い屋外を頻繁に行き来することで自律神経が失調し、体調を崩しがちになる。しかし、上手に汗をかける体作りと日常のちょっとした工夫で予防はできる。まずは、日頃から運動や下半身浴などでしっかりと汗をかける体にすることが大切だ。また、温度差の激しい場所に移る際には、いったん玄関や踊り場などの中間の温度の場所で数分間体を慣らす。それだけでも夏バテ防止になるだろう。



日経ビジネス 2009年7月20日


多汗症についての相談(回答内容別)
多汗症についての相談(質問内容別)